日本の暦に掲載される一日ごとのお日柄の吉凶占いで、最上の大吉日と解説されることが多いのが「天赦日」です。
百神が天に昇り、天が万物を赦(ゆる)日なので、今まで迷っていて挑戦できなかったことに挑戦したり、何事を始めるにも良く、何の障害も起こらない日とされています。
とは言え、そこまで縁起のいい日だと言われると…
「そもそも、なんで、天赦日は、最高の吉日なのか」
とか、
「天赦日は、どういう決め方をしてるのか」
とか、
「天赦日にしてはいけないことはあるのか」
などなどが、気になってしまうのも、よくあることですよね。
そこで、ここでは、天赦日について深堀りしてまとめています。
まずは、天赦日に、一般的に言われている「するといいこと」について知りたい方は、以下をどうぞ。
天赦日の決め方や、そもそも、なぜ、天赦日は吉日だと言われるのか、その理由について知りたい方は、こちらです。
また、2026年の具体的な天赦日について、他の占いも含め、
などを知りたい方は、以下の項目にまとめてありますので、こちらをご参照下さい。
2026年の天赦日は、以下の6日です。
天赦日の読み方は「てんしゃび」または「てんしゃにち」です。
天赦日は、最上級の吉日なので、何をするにも良い日なのですが、その中でも、特に「するといい」と一般的に言われているのは、以下のような事柄です。
逆に、天赦日に「してはいけないこと」としては、一般的には、犯罪や浮気、大金をかけてのギャンブルなどが挙げられることがあります。
いくら天赦日が「万物を赦(ゆる)す日」だと言っても、どんなことでも許されるわけはなく、やっぱり、限度はある…というわけですね。
ただし、一般的に言われている「天赦日にしてはいけないこと」は、別に天赦日じゃなくても、どちらかと言えば、しない方がいいような事柄ばかりです。
2026年中の具体的な天赦日について、ほかの吉日占いも含め、
などについては、以下でまとめてありますので、より突っ込んで調べたい方は、こちらをご参照下さい。
天赦日は、節切りと、十干と十二支の組み合わせによって決まります。
節切りとは、「立春から、立夏の前までを春」とするような季節の区切り方を言います。
一年を節切りで区切った上、十干(じっかん)と十二支(じゅうにし)の組み合わせ、つまり、干支(えと)が以下のようになった時に「天赦日」になります。
春(立春~立夏前日)戊寅の日
夏(立夏~立秋前日)甲午の日
秋(立秋~立冬前日)戊申の日
冬(立冬~立春前日)甲子の日
十干と十二支の組み合わせは、全部で60通りです。
1年は、365日あるので、365を60で割れば、天赦日は、年間6日くらいになることがわかります。
例えば、2026年の天赦日は、以下の通りです
全部で6日ありますが、2026年(令和8年)の場合、春と夏の天赦日が2日ずつあり、秋と冬の天赦日が1日ずつになっています。
では、なぜ、天赦日は、最高に縁起が良いと言われるのでしょうか。
その理由について、天赦日の由来から考えてみましょう。
そもそも、天赦日など、60種類の干支(えと)を使った吉凶占いは、陰陽五行説に基づいています。
陰陽五行説は、万物は、相反する陰と陽に分けられ、さらに細かく言えば、木・火・土・金・水の5要素(五行)で構成されている、と考える思想です。
木・火・土・金・水は、5つ並べて、木火土金水(もっかどごんすい)と読まれることもあります。
そして、この五行の相互間には、以下のような相生(そうじょう)と、相剋(そうこく)と、比和(ひわ)の関係があります。
上記のように、相生(そうじょう)は、一方が一方を生むような関係で、相剋(そうこく)は、一方が一方に打ち勝つような関係です。
そして、最後の比和(ひわ)は、同じ気が重なり、その気が、ますます盛んになるような関係です。
「ますます盛んになる」と言っても、良い場合は、さらに良くなり、悪い場合は、さらに悪くなります。
さて、干支による吉凶占いでは、60種類の干支が、各日にちに割り当てられており、さらに、それぞれの干支は、五行へも配当されているので、その関係性を見ながら、吉凶を読み解いていきます。
この中で、天赦日は、相生(そうじょう)と、相剋(そうこく)の関係の中庸を得るような日取りです。
中庸は、ちょうど真ん中で、どちらにも偏っていないような状態を言います。
どこにも偏りのない中庸の日なので、天赦日には、何の障害も起こらない、というわけです。
天赦日は「百神が天に昇り、全てをゆるす日」と説明されることがよくありますが、別の見方をすると、どこにも偏っていないバランスの取れた日であることを、物語風に説明しているとも言えます。
天赦日は、何かを始めるのに良いと言われる選日の「一粒万倍日」と重なることもあります。
一粒万倍日は、天赦日のような吉日と重なれば、その効果が増す、と言われているので、天赦日と一粒万倍日が重なるような日は、最強の開運日となります。
このような最強開運日は、芸能界でもよく活用され、最近では、以下のような芸能人が、デビューや結婚の日に、天赦日と一粒万倍日が重なる日を選んでいます。
最上の吉日の天赦日が、六曜の凶日の仏滅と重なることもあります。
お日柄の吉凶占いでは、日本で最も有名な六曜ですが、万事大凶と言われる仏滅が、ほかの占いの吉日と重なることは、けっこうあります。
六曜の吉凶判断が、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の6種類しかなく、しかも、それが、ほぼ順番に繰り返されるからです。
仏滅と大安は、多くの人が知っていて、その日の吉凶判断が簡単できる、というメリットはあるものの、六曜の歴史的背景には、不明な部分も多く、信憑性にかけるため、伝統風水では、吉日と仏滅が重なったとしても、特に、気にしないことが多いようです。
天赦日は、最上の吉日なので、してはいけないことは、ほとんどないのですが、暦をさらに詳しく見ていくと、別の項目では凶日となっている場合もあります。
これは、占い方が変われば、同じ日でも、凶日になることがあるためです。
そこで、ここでは、2026年中のそれぞれの天赦日についての吉凶を、暦中段の十二直や、占星術に基づく二十八宿を含め、まとめてみました。
各天赦日の「してはいけないこと」については、風水で擇日(たくじつ)で見た場合も掲載しています。
擇日(たくじつ)とは、伝統風水にもとづいた「日選び」の学問です。
ただし、こうして、ほかの占いまで、詳細に見ていくと、「全ての占いにおいて、吉日となる日」というのは、ほとんどありません。
なので「日の吉凶を細かく知ってしまうと、それが気になり、かえって混乱する」という方は、以下は、見ないでおく方がいいかもしれません。
あくまで、自分が活用しようと思っている天赦日が、ほかの占いでは、どういう日になっているのかを、知りたい方だけご覧下さい。
2026年3月5日の天赦日は、一粒万倍日と寅の日、さらには、大安も重なる最強開運日になっています。
吉日が3つ重なることは、年に数回あることもありますが、4つ重なることは滅多にありません。
ただし、3月5日は、建築関係では縁起が悪いとされる凶日の三隣亡とも重なっています。
十二直の方では、いろいろな働きが止まってしまうという「閉」(とづ)の凶日とも重なっています。
二十八宿では、衣類の着初めや、柱立て、婚礼などに吉の「角宿」(かくしゅく)になっています。
擇日でみてみると、凶神に、血支(けつし)のほかに、遊禍(ゆうか)も出ているので、耳鼻科、眼科をはじめ、医者に行ったり、薬を決めたりするには、いい日ではありせん。
特に、医者に行かない方がいいとされる遊禍(ゆうか)は、天赦と重なると、その効果が強くなる、という凶神です。
2026年の5月4日は、天赦日と寅の日が重なるダブル開運日です。
月曜日ですが「みどりの日」でもあるので祝日です。
5月4日の十二直は、建築、移転、婚礼、開店などにすべて吉の「開」(ひらく)です。
二十八宿は、神仏の祭祀、移転、旅行などには吉の「心宿」(しんしゅく)になっています。
2026年5月20日の天赦日は、ほかの吉日との重なりはなく、凶日の不成就日と重なっています。
十二直は、医者のかかり始めや、薬の飲み始めに良いとされる「除」(のぞく)で、二十八宿は、物品購入や新規取引の開始に吉とされる「参宿」(さんしゅく)です。
擇日で見てみると、5月20日は、凶神に、結婚式の日には良くないとされる感池(かんち)が出ています。
十二直の「除」(のぞく)も、婚礼は凶なので、5月20日は、天赦日ではありますが、結婚関係は避けておいた方がいいかもしれません。
2026年の7月19日は、天赦日に加え、一粒万倍日と大安が重なるトリプル開運日です。
ただし、凶日の不成就日とも重なっています。
7月19日の十二直は、3月5日と同じく、いろいろな動きが止まってしまうという「閉」(とづ)で、二十八宿は、乗馬始めや治療始めに良いとされる星宿(せいしゅく)です。
通書の凶神では、血支(けつし)が出ているので、鍼灸、耳鼻科、眼科に行くこと、耳掃除などが「してはいけないこと」になっています。
2026年の10月1日は、天赦日と一粒万倍日が重なるダブル開運日です。
十二直は、3月5日、7月19日と同じく、いろいろな動きが止まってしまうという「閉」(とづ)です。
二十八宿は、柱立て、棟上げ、旅立ちなどには吉の「奎宿」(けいしゅく)です。
通書の凶神では、7月19日と同じ血支(けつし)が出ています。
血支(けつし)は、鍼灸、耳鼻科、眼科に行くこと、耳掃除などが「してはいけないこと」になっている凶神です。
2026年12月16日は、天赦日に加え、一粒万倍日と甲子の日が重なるトリプル開運日です。
甲子の日は、60日周期の「十干十二支」の最初の日で、縁起の良い吉日とされています。
また、金運や財運、商売繁盛のご利益がある七福神のお一人、大黒天のご縁日でもあります。
暦中段に掲載される十二直では、12月16日は、最吉日の「建」(たつ)になっています。
「建」(たつ)は、神仏の祭祀や、柱立て、棟上げ、新規事業の開始、婚礼、旅行などに大吉の日です。
二十八宿の方は、物品仕入れ、集金、建物の改造などには吉の「箕宿」(きしゅく)になっています。
擇日では、12月16日は、必ず避けるべき凶神の月建(げっけん)が出ています。
月建は、天赦と重なると、多少の凶は解除されるものの、樹木を切り倒したり、リフォームしたりするのは「絶対してはいけない」とされています。